勉強への父助言 ~ 押しつけ禁物 焦らずに

「父親の出る幕なんてないんですかね?」と暗い顔をして話すのは小6のF君のお父さん。

いよいよ受験学年。だが、成績は低迷中。そこで「あと1年」を機に、わが子の勉強法を分析してみた。すると、問題点がいくつも出てきた。コレがいかん、アレが悪い、こうしてみろと忠告すると、「わかったから、ほっといてっ!」と子どもにそっぽを向かれてしまった。その上、奥さんにまで「よけいなことしないで」と非難され、へこんでしまったという。

実は、母子二人三脚で進めている受験勉強に、父親が加わると、こうした摩擦が起こりやすい。

摩擦の原因は明らかだ。親子関係には文脈がある。これまで母親と子どもの間で作ってきた親子関係は良くも悪くも「できあがって」いる。そこに父親が文脈を無視し、別の基準を持ち込んでくれば当然「きしむ」。慣れ親しんだ親子関係が不協和音を奏でる。

父親がわが子の教育にかかわることに何の問題もあろうはずがない。ただ、母子の関係と自分の役割を無視して飛び込むのは危険だ。

伸び悩む成績を前に母子が何もしていないはずがない。きびしいバトルが何度となくあったろうし、計り知れないほどの悔し涙も流されているにちがいない。

その背景を知らないまま、口出ししても的外れなアドバイスになりかねない。いくら理屈が通っていても、一方的に押しつけては当然はねつけられる。わかっていてもできないわが子の気持ちを察してやり、父親は敵ではなく味方であることを示してやらなければ、子どもは聞く耳を持とうとはしない。

要するに、ちょっとした気遣い、心配りのできる余裕を持って子どもにかかわればいいのだ。だが、子どもと接する時間の限られた父親の場合、そのわずかな時間で一気に解決をはかろうとするために、失敗してしまいがちなのだ。

焦りは禁物。たとえ子ども相手であっても、良好な関係を築くのに「即席」は利かない。