月別: 2021年12月

激励会 12/6中国新聞「エール」より

受験生を対象に「激励会」を行っている。時機に応じて、受験勉強の改善とモチベーションの向上を目指す。秋気いよいよ深くなり、多くの受験生が第一志望とする学校の入試まであと3カ月を切った。ところが、いまだに気合の入っていない子も少なくなく、激励会は不可欠だった。

入試までのカレンダーを確認し、追い込み期にやるべきことを具体的に説明する。ところが、「いつもの話か」と思っているのか、反応は今イチだ。何も考えていないわけはない。「そろそろヤバい」という感覚はあり、焦りはするものの、何をどうしたら良いのかわからないのだ。

当然だ。彼らにとって受験は初めての体験なのだ。この時期の受験勉強のポイントを伝えるだけでは効果はうすい。行動につながる熱量を生み出さないと彼らは動かない。

そこで秘密兵器を用意した。彼らの多くが第1志望、第2志望とする学校の実際の入試風景の画像を見せたのだ。

受験生が集まる前の早朝まだ暗い試験会場の様子、掲示された合格者の番号(志願者数との差にも言及する)、1点、1問足らずに合格できなかった受験生に届いた補欠通知、そして定員に達して繰り上げを終了する通知。初めて見る入試の風景だ。最初はざわついていた子どもたちも徐々に真剣なまなざしに変わる。百聞は一見にしかずを地でいくような反応だ。受験が現実感を持って彼らに迫ってきたようだ。

激励会が終わってある子がやってきた。「センセ、国語伸ばすのどうしたらいいの?」。何としても受かりたいという気持ちに駆られたのだ。わが意を得たり。これが今回の激励会の目的だった。

今子どもは不安のただ中にいる。だが、大人はそんな子どもを叱り、勉強を強い、指示するだけだ。われわれは子どもの心に火をつけることを軽んじてはいないか。まずは、主人公の熱い気持ちを呼び起こしたい。子どもが本気になるアプローチがきっとあるはずだ。ぜひ親ならではの秘密兵器を探してほしい。