メンタル 1/17中国新聞「エール」より

このコラムが出る頃には今年の中学入試は開幕している。多くの場合、ここまでの序盤戦は本命前の腕試し、前哨戦だ。とはいえ、初めて経験する入試の緊張感は模擬試験などとは異質なものであり、その中で実力を発揮するのがどれほど難しいかを実感したことだろう。こうした経験を生かして第1志望校では悔いなく戦ってほしい。

残された時間はあとわずか。もう学力が大きく上下する時期ではない。では、できることは何もないのか。いや、ちゃんとある。むしろここからの時間が合否を分けると言ってよい。

こんな場面を想像してほしい。1時間目の科目で失敗した。その時、こんなはずじゃなかったのに、と落胆するだろう。もうダメだ、と絶望的な気持ちになるかもしれない。

でもそんな気持ちのまま、次の科目に向かってはいけない。悔しいけど、まず沈んだ気持ちを立て直そう。次の科目こそは実力を出し切ろうと前を向こう。そうした心の強さがあるかどうかで合否は決まるのだ。

それに、1時間目の科目は他の受験生にとっても難しかった可能性だってある。まだまだ戦意を失う状況ではない。手応えがどうであろうと、最後まで諦めることなく、全力を尽くすことだけを考える。それができて初めて合格は見えてくる。

だからこそ、ここでメンタルを強化しよう。試験で力を出し切るためにどうすればいいかを真剣に考えてほしい。どの学校もボーダーライン前後の受験生に学力差はない。ラインを越えるために必要なのは、あと1点、あと1問を取り切ろうとする粘り強さであり、諦めない心の強さなのだ。

知識やテクニカルな解法の確認も大事だが、第1志望校の受験を想定し、どんなことがあっても、最後まで投げ出さず、あがき、粘ることだけを考えて本番に向かおう。勝ち負けじゃない。自分の持っているものをすべて試験会場に置いてくる、それができればいい。

受験生のみんな、思いっきりやっておいで。