良い学校 2/21中国新聞「エール」より

国公立大学の2次試験が目前に迫る。大学入試も残りわずか。受験生諸君は力を尽くし、悔いなく戦ってほしい。

前期日程の合格発表は3月上旬。ほぼ時を同じくして、書店やコンビニには「東大・京大合格者ランキング」という文字の躍る週刊誌が並ぶようになる。最近はネットの専門サイトまである。今や3月の風物詩である。

発表後数日で関係各所に対して合格者を調査するローラー作戦は想像するだけで気が遠くなるが、それだけの労力を掛けてでも毎年特集が組まれるのは大学合格者ランキングの社会的関心が高いことの証しだ。

「東大や京大がすべてじゃない」というのは間違っていない。企業からの評価が高い大学は他にもあるし、医学部をはじめとする実学系の進路選択も増えている。ただ両大学が最難関であることは周知の事実であり、大学入試の象徴的存在と言っていい。難関に多数合格させる高校は俗に言う「えらい学校」であり、やじ馬的興味も刺激する。いつかわが子をその学校で学ばせたい、と思う保護者がいるのも当然だろう。

ランキング上位校は、高いレベルで切磋琢磨する俊英が集う進学力の高い学校であることは確かだろう。事実、誰もがどこかでその名を聞いたことのある有名校が並んでいる。だからと言って、東大や京大の合格者が少ない学校が「良くない学校」ということには決してならない。

中学受験で上位校の併願校とされる学校がある。偏差値なら40程度。東大や京大にはそれほど受からないが、難関私大や地元の国公立大には多数合格する。それらの大学の偏差値は60程度だから、中高6年間かけて、偏差値を20も伸ばしたということになる。こういう学校も「良い学校」ではないか。

子どもが大きく成長する時期は人それぞれ。中学受験時の1回こっきりの試験での学力が全てではない。入学後をどう過ごすかの方が大切だ。だからこそ、生徒一人一人のタイプに応じて「伸ばす学校」を評価する目も持っていたい。