マルだらけの答案 4/5中国新聞「エール」より

保護者には少しショッキングな話をしよう。

国語の授業でのこと。読解問題の解説をしていた。文章を読み返しながら答えを説明し、子どもたちに自分の答案にマル付けや直しをしてもらった。

ところが、ある子が正解を聞いてから、自分の答えを消して書き直し、赤ペンで〇を付けているのに気付いた。近寄ってみると、見事なまでのマルばかりの答案だ。薄い字で答えを書き、最初から消しやすいようにしてあるから手が込んでいる。

授業後、この子に話を聞いた。「どうして自分の答えを書き直すの?」「全部書き直していたら、どこをどう間違ったか分からないから復習できないよ」と話しても、黙ったまま。「間違えたところには×を付けようよ。勉強はそこから始まるんだから」と言うと、「大丈夫。間違いは覚えてるから。それに…×が多いとお母さんに怒られるから…」との言葉が返ってきた。

×が目立つと親から厳しく注意されるらしい。それが嫌でこんなやり方を身につけてしまったようだ。実を言うと、こういう子は他にもいる。

不正解に過剰に反応する親は少なくない。「どうしてこんなに間違いが多いの?」「ちゃんと考えているの?」などなど。わが子の答案にある?が耐えられない。こんなことで受かるのかと不安で仕方がない。

心配の種は少ない方がいい。だが、間違えることはそんなにいけないことなのか?

子どもが伸びていくためには、成功体験と同じくらい、つまずくことが大切だ。?から学ぶことは多い。同じ失敗を繰り返さないように努力すればいい。むしろ失敗から学べる場を作ってやるのが大人の務めではないか。親が自分の不安解消と目先の安心を優先すると前述のような子が出てくる。子どもの自己防衛の結果がマルだらけの答案なのだ。

いっぱい赤が入った答案のどこがいけない。それこそ努力の証しじゃないか。赤ペンを使ってゴシゴシ直しをしている子どもを育てよう。