中学受験の勉強時間 7/19中国新聞「エール」より

「皆さん何時間くらい勉強しているんですか」と保護者に問われることがある。わが子の勉強時間が少ないのではないかという不安があるのだろう。学力と勉強時間の相関はあるし、中学受験をするのであれば、それなりの時間をかけなければならない。

だが、結論から言えば、人による。適正な勉強時間というものは、その子の学力と目標、さらに言えば学習態度によって決定される。だから、「そのままでいいですよ」もあれば、「もっと頑張りましょうか」と言うこともある。大事なのは、量以上に勉強の質であり、かけた労力が結果に見合っているかどうかで判断すべきだ。

志望校への受験勉強がある程度順調に進んでいるのであれば、そのままでいいだろう。多少の浮き沈みはあるかもしれないが、下手にいじらない方がいい。

一方で、成績が振るわず、志望校合格にはほど遠い学力なのに、勉強不足というのであれば、当然勉強時間を増やさなければならない。最小の努力で最大の効果を、などと虫のいいことは言っていられない。「もっと勉強しなさい」でいい。

問題なのは、机に向かっている時間は長いのに、成績は低迷しているというケースである。勉強の質に問題があるのは明らかだ。だらだらと集中せずに勉強しているため、時間だけが過ぎていく。こうなると、エンドレスに続く(ような気がする)勉強に耐えるため、心身共に「省エネモード」に入り、さらに集中度は低下する。悪循環だ。このまま続けても好転することはない。

勉強をもっと小刻みにしてみるといい。短時間で集中できる量にし、終わればインターバルを入れる。それを何セットか続けて、疲れたら終わりにする。一気に完璧など求めない。勉強の質を上げることを優先する。そんなことで間に合うの、という声が聞こえてきそうだが、結果に結びつかない勉強時間は意味がない。

夏休みが始まる。天王山を制するために、さてどれくらい勉強しましょうか。